薬は体の中にはいると、肝臓で酵素によって代謝されます。この酵素の働く力には人によって差があり、その強さは、遺伝子を調べることでわかります。 この薬の代謝に関する体質をここでは「おくすり体質」とよびます。
同じ薬を同じ量飲んでも、効き過ぎてしまう体質の方が少数ですがいらっしゃいます。薬を飲む量は平均的な体質の方に合わせて決められることが多いので、平均的な体質の方にとってはちょうどいい量であっても「薬が効き過ぎてしまう体質」の方にとっては多すぎる量になってしまうのです。
「薬が効き過ぎてしまう体質」の方は薬が効き過ぎて、普通では起こらない副作用が起きたり、いったん副作用が起きると症状がひどくなったり長引いてしまうことがあります。副作用にはまれではありますが、重大なものもあります。
そのため、「薬が効き過ぎてしまう体質」が原因で通常ではでないような副作用が起きても、それが体質のせいだとは気づかずに、原因不明な症状として別の治療がされてしまう可能性があります。 また、救急時には大量の薬を使うことが多いので、この体質を知らずに薬を使うと重大な事態になることがあります。慢性の病気で長い期間薬を飲む時にも注意が必要です。
今後、こうした薬の代謝に関わる遺伝子の研究が進むにつれ、「おくすり体質」別に効き方や副作用が予想できる薬がさらに増えていくことが期待されています。
それを選ぶときの目安となる「自分自身」の情報は意外と少ないものです。遺伝子検査でわかる体質は一生変 わらないものですので、「自分自身」の大切な情報として長くご活用いただけます。
*薬の効き方や副作用のあらわれ方には、「おくすり体質」以外にも以下のようなものが関係しています。