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症例報告

<CYP2D6の欠損によるメジコンの副作用例>

現病歴
30歳代女性。風邪症状があり、近医受診し、クラリスと顆粒の感冒薬の処方を受けた。全体に症状は軽快してきたが、咳がとれなかったため、その4日後再診、メジコンとムコソレートを処方された。夜服用したところ、翌朝より発熱、嘔気、頭痛、口渇感出現。運動失調、錯乱、幻覚などの強い精神症状はなかった。その2日後同じ病院に再度受診したところ、別の風邪にかかったのでしょう、との説明。しかしその翌日メジコンの服用を止めた。その後熱は下がったが、頭痛、倦怠感、嘔気は継続した。1週間くらいですべての症状は改善した。
既往歴
32歳ころより、風邪にて呼吸困難になることがあり、喘息の診断にてフルタイド200μgを吸入している。
症例と遺伝子変異との関連について
メジコンの添付文書に以下のような記載あり。

7. 過量投与
徴候,症状:嘔気,嘔吐,尿閉,運動失調,錯乱,興奮,神経過敏,幻覚,呼吸抑制,嗜眠等を起こすことがある。
処置:一般的な薬物除去法(胃洗浄,活性炭投与等)により本剤を除去する。また,必要に応じて呼吸管理や対症療法を行う。ナロキソンの投与により改善したとの報告がある。


メジコン投与のタイミング、症状を合わせて考えると、精神症状の発現はなかったが、一端感冒症状がよくなってきたのに、メジコンの使用により発熱、嘔気、口渇感が出現しているため、「別の風邪にかかった」というよりメジコンの副作用を疑う方が妥当と考える。また症状としては過量投与と同様の症状がある事から、2D6変異の可能性を疑った。
「おくすり体質検査」の結果、2D6の*5は注意タイプで、*4について1つ変異があるという結果。また1A2*1C, 2C19*2も注意タイプであった。
報告:アーテイジ虎ノ門クリニック院長 内山明好