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ワルファリン

抗血栓薬血管の中で血液が固まって血管の壁に付着したものを血栓とよびますが、この血栓により血管が狭くなることで血液の流れが滞り、組織や臓器に障害を引き起こします。これが血栓症です。 日本人の40歳代の5人に1人、50歳代で3人に1人、60歳代で2人に1人、70歳代ではほぼ全員血栓症であるといわれています。出来た血栓がはがれ、血流にのって移動し、他の部位の血管をふさいだ状態を塞栓(そくせん)症といいます。塞栓症の原因は他にもありますが、原因の大部分が血栓といわれています。 ここ数年間の日本人の死亡原因の第1位はガンであり、第2位は心臓疾患、第3位は脳血管障害となっています。この心臓疾患の約90%が心筋梗塞、脳血管障害の約70%が脳血栓症であると言われています。これらは広く解釈すると「血栓症」のひとつであり、実は日本人はガンと同等かそれ以上の人が血栓症で死亡していることになります。
ワルファリンは血液が固まるのを防ぐ抗凝固剤として主に血栓症の治療・予防に使用されます。ワルファリンの副作用としては、鼻や歯茎からの出血、血便や血尿、皮膚の内出血、吐き気・嘔吐、といった症状が報告されています。

ワルファリンはCYP2C9という酵素で代謝されますが、日本人の約6%の方が注意タイプ、約1%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定されます。注意タイプの方はワルファリンが平均タイプの方の約3倍、効き過ぎタイプの方は約10倍、血中濃度が高くなるため、通常の投与量で副作用が生じる可能性があります。

フェニトイン

フェニトインは抗てんかん薬で脳内の神経細胞に作用し、てんかん発作を抑えとどめます。てんかんは、乳幼期から高齢期まで幅広く発病しますが、3歳以下の発病が最も多く、80%は18歳以前に発病すると言われ、発症率は100人に1人と言われています。
フェニトインは血中濃度のコントロールが非常に難しく慎重な投与が必要とされています。副作用として歯肉増殖、多毛症、注意力・集中力・反射運動能力の低下、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、SLE様症状、無顆粒球症・血小板減少・巨赤芽球性貧血などの血液障害、催奇形性(胎児フェニトイン症候群:口蓋裂、口唇裂、心奇形)などが報告されています。 また、長期間または大量服用などによって、小脳の機能障害・小脳萎縮を起こすこともあり、自立歩行が困難または不能になる場合もあります。

フェニトインはCYP2C9という酵素で代謝されますが、日本人の約6%の方が注意タイプ、約1%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定され、通常の投与量で副作用が生じる可能性があります。

アトモキセチン

アトモキセチンは18歳未満のADHD(注意欠陥多動性障害)の治療薬として使われています。ADHDとは多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とする発達障害の一つで、注意力を維持しにくい、時間感覚がずれている、様々な情報をまとめることが苦手などの特徴があります。一般に日常生活や学習面に支障をきたす程度のADHDの発症率は約30人に1人とされていますが、適切な治療と環境を整えることによって症状を緩和することも可能です。アトモキセチンの副作用として、食欲不振、吐き気、腹痛、下痢、頭痛、眠気、不眠、立ちくらみ、めまい、怒りっぽい、攻撃的、敵意の発現または悪化、動悸、頻脈、血圧上昇、体重減少、成長遅延などが報告されています。また、頻度は稀ですが重い副作用として肝障害が報告されています。

アトモキセチンはCYP2D6という酵素で代謝されますが、日本人の約25%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定されます。このタイプの方は通常の投与量で副作用が生じる可能性があります。

セレコキシブ

セレコキシブは非ステロイド性抗炎症薬です。主に関節リウマチや変形性関節症の消炎、鎮痛に使用されます。関節リウマチとは自己の免疫が主に手足の関節を侵し、これにより関節痛、関節の変形が生じる代表的な膠原病の一つです。日本には60~70万人の関節リウマチの患者がいるとされ、女性の発生率が男性の3~4倍あるとされています。発病は主に30~50代ですが、60歳以上、あるいは16歳未満の若年期に発病する場合もあります。セレコキシブは使用期間が長い場合、副作用として心筋梗塞や脳卒中の発現リスクが高まるおそれがあります。

セレコキシブはCYP2C9という酵素で代謝されますが、日本人の約6%の方が注意タイプ、約1%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定されます。このタイプの方は通常の投与量で副作用が生じる可能性があります。

トルブタミド

トルブタミドは糖尿病内服治療薬の中では、最も多く使用されている薬です。糖尿病とは血糖値が病的に高い状態をさす病名です。初期の段階では自覚症状があまりないため、気付かないまま放置していると、高血糖が全身の臓器に障害をもたらしさまざまな合併症を引き起こします。最終的には人口透析や壊疽による足の切断などを行わなくてはならない場合があります。糖尿病患者は現在1000万人以上いるとされ、その約9割は2型糖尿病といい、主に過食、肥満、運動不足、ストレス、加齢などが原因となって引き起こされています。

トルブタミドはCYP2C9という酵素で代謝されますが、日本人の約6%の方が注意タイプ、約1%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定されます。注意タイプ、効き過ぎタイプの方は、通常の投与量で、血糖値減少、長時間の発汗、ふるえといった副作用を生じる可能性があります。

ジアゼパム

ジアゼパムは神経症における不安・緊張・抑うつ、うつ病における不安・緊張、手術前後の鎮静、てんかん治療など非常に広範に使用されています。副作用としては、傾眠傾向、抑うつ、運動機能・協調運動障害、(動揺性)めまい、神経過敏 などが報告されています。また眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作は避けましょう。

ジアゼパムはCYP2C19という酵素で代謝されますが、日本人の約40%前後の方が酵素の働く力が弱い、約20%前後の方がさらに弱いと推定されます。このタイプの方は通常の投与量で副作用が生じる可能性があります。

ボリコナゾール

体の抵抗力が落ちている人では、いわゆるカビである真菌が消化管や肺など体の内部で異常増殖することがあります。ボリコナゾールはその治療に使われる抗真菌薬です。カンジダ、クリプトコックス、アスペルギルスをはじめ、フサリウムやスケドスポリウムという真菌に有効です。ボリコナゾールの副作用で一番多いのは視覚の異常(まぶしい、ぼやける)で、そのほかに吐き気や嘔吐、食欲不振、頭痛、不眠などもみられます。重い副作用でとくに重要なのが肝障害です。そのほか、もともと心臓の弱い人では、心不全や不整脈の発現にも注意が必要です。

ボリコナゾールはCYP2C19という酵素で代謝されますが、日本人の約40%前後の方が酵素の働く力が弱い、約20%前後の方がさらに弱いと推定されます。このタイプの方は通常の投与量で副作用を生じる可能性があります。

メトプロロール

メトプロロールは心臓の拍動を抑えて血圧を下げる作用があり、主に、高血圧症、狭心症などの治療に使用されます。メトプロロールの副作用には、だるい、めまい、ふらつき、徐脈、低血圧 、手足の冷え、しびれ感 、目の乾燥(目がゴロゴロ、しょぼつく) 、気分がしずむ、眠気、不眠、悪い夢、幻覚 などが報告されています。

メトプロロールはCYP2D6という酵素で代謝されますが、日本人の約25%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定されます。このタイプの方は通常の投与量で副作用を生じる可能性があります。

タモキシフェン

薬によっては肝臓で代謝された後に有効成分となるものがあります。「おくすり体質検査」で「効き過ぎタイプ」と判定されると、代謝によって生成される有効成分が少ないため、逆に薬が効きにくいことが起こります。タモキシフェンがそのタイプになります。タモキシフェンは抗ガン剤の一種で、乳ガンの治療に使われます。タモキシフェンはCYP2D6という酵素で代謝されますが、日本人の約25%いるとされる効き過ぎタイプの方は、この薬の効果が得にくいとの報告がされています。

オメプラゾール

オメプラゾールは胃酸の分泌を抑えることにより、胃酸による胃粘膜への刺激を弱め、ピロリ菌除菌の際の補助薬として使用されます。オメプラゾールはCYP2C19という酵素で代謝されます。日本人の約20%の方は酵素の働く力が弱いため、オメプラゾールの血中濃度が高く維持され、ピロリ菌除菌の効果が高いとの報告があります。

ランソプラゾール

ランソプラゾールは胃酸の分泌を抑えることにより、胃酸による胃粘膜への刺激を弱め、ピロリ菌除菌の際の補助薬として使用されます。ランソプラゾールはCYP2C19という酵素で代謝されます。日本人の約20%の方は酵素の働く力が弱いため、ランソプラゾールの血中濃度が高く維持され、ピロリ菌除菌の効果が高いとの報告があります。

ラベプラゾール

ラベプラゾールは胃酸の分泌を抑えることにより、胃酸による胃粘膜への刺激を弱め、ピロリ菌除菌の際の補助薬として使用されます。ラベプラゾールはCYP2C19という酵素で代謝されます。日本人の約20%の方は酵素の働く力が弱いため、ラベプラゾールの血中濃度が高く維持され、ピロリ菌除菌の効果が高いとの報告があります。

プロプラノロール

プロプラノロールは交感神経のアドレナリン受容体のうち、β受容体のみに遮断作用を示すβ遮断薬の一種です。心臓や気管支に作用し、心臓の拍動をおさえて血圧を下げる作用があります。高血圧症、不整脈などの治療に使用されます。プロプラノロールはCYP2D6という酵素で代謝されますが、日本人の約25%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定されます。このタイプの方は通常の投与量で副作用を生じる可能性があります。

トロピセトロン

トロピセトロンは抗ガン剤治療中に生じる吐き気を抑えて患者の苦痛をやわらげるために使用されています。トロピセトロンはCYP2D6という酵素で代謝されますが、日本人の約25%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定されます。このタイプの方は通常の投与量で副作用を生じる可能性があります。

プロパフェノン

プロパフェノンは脈拍を整える薬です。脈拍が速くなる頻脈性の不整脈の治療薬として使用されています。プロパフェノンはCYP2D6という酵素で代謝されますが、日本人の約25%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定されます。このタイプの方は通常の投与量で副作用を生じる可能性があります。

ロサルタン

薬によっては肝臓で代謝された後に有効成分となるものがあります。「おくすり体質検査」で「効き過ぎタイプ」と判定されると、代謝によって生成される有効成分が少ないため、逆に薬が効きにくいことが起こります。ロサルタンがそのタイプになります。ロサルタンは、血管収縮作用を及ぼす受容体に作用することで降圧効果を発揮し、高血圧症、または高血圧及び蛋白尿を伴う2型糖尿病の治療薬として使用されています。ロサルタンはCYP2C9という酵素で代謝されますが、日本人に約1%いるとされる効き過ぎタイプの方は、この薬の効果が得にくいとの報告がされています。

クロピドグレル

薬によっては肝臓で代謝された後に有効成分となるものがあります。「おくすり体質検査」で「効き過ぎタイプ」と判定されると、代謝によって生成される有効成分が少ないため、逆に薬が効きにくいことが起こります。クロピドグレルがそのタイプになります。クロピドグレルは血小板の働きをおさえて、血液が固まるのを防ぎます。おもに、脳の血管が詰まる脳卒中(脳梗塞)の予防に用いられています。特に、脳の太い動脈がコレステロールなどで狭くなることで起こる「アテローム血栓性梗塞」、あるいは頸動脈の効果による「一過性脳虚血発作」に効果が高いと考えられています。クロピドグレルはCYP2C19という酵素で代謝されますが、日本人の約20%の方は酵素の働く力が弱いため、この薬の効果が得にくいとの報告がされています。

カフェイン

カフェインには眠気や疲労をやわらげ、運動機能を高めるなどの効果がありますが、大量に摂取すると不眠や興奮作用などが起こります。カフェインはCYP1A2という酵素で代謝されますが、日本人の約26%の方が注意タイプ、約2%の方が効き過ぎタイプに該当すると推定されます。このタイプの方は、カフェインの代謝に時間がかかるので、カフェインが体内に長くとどまることが考えられます。カフェインは少量ですが風邪薬等にも含まれます。