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8月初旬、イリノイ州のBarack Obama民主党上院議員は、米国で初となるPGxの議案“Genomics and Personalized Medicine Act of 2006”を議会に提出した。この議案は、企業が効率的に有用なpersonalized medicineを開発しやすくし、米国市民が適切な治療とよりよい健康の恩恵にあずかれるよう、さらなる新薬研究開発費の投入や遺伝子検査キットを開発する民間企業への税額控除といったインセンティブを掲げることで、プライベートセクターにおけるPGx関連の医薬品医療機器の開発と質の向上を促進させることを示した。さらに研究成果を臨床につなげる専門組織を整え、市場の障害となっている規制排除、個人の遺伝子情報保護と遺伝子情報による差別を防ぐことなども記している@。
この議案について、米国のGenetics & Public Policy Center(遺伝子および公共政策センター)のセンター長Kathy Hudson氏は、「遺伝子情報に関連した公共政策整備が促進されることを期待する」と述べA、また、マイクロアレイ市場の製造販売において世界トップシェアを持つAffymetrix社のGovernment Relations and Public Policy(対政府関係および公共政策)アソシエイト・ディレクターJennifer Leib氏は、「PGxの拡大を支持する議案だ」とPharmacogenomics Reporter誌に見解を述べているというB。
2000年のヒトゲノム解読終了後、さまざまな研究によって詳細な遺伝子情報が解明され、遺伝子検査キットAmpliChipとハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)を組合せた乳癌療法が実現、さらに米国立がん研究所(NCI)は今年からPGxに基づいた新しい臨床試験を準備中だC。しかしながら、遺伝子研究成果が臨床的に患者さんへ十分に還元されていないとObama上院議員は指摘。また、遺伝子情報をもとにした治療法の出現から、個人の遺伝子情報による悪用や差別を防ぐため、その保護と対策も同様に進めていかねばならない。こういった現状からObama上院議員の議案提出は、PGxがもはやFDAレベルではなく、政府レベルで取り組む必要性が増してきていることを示唆していると思われる。
なお、わが国も基礎研究から臨床への応用、つまりトランスレーショナルリサーチの課題が最近、行政に認識されつつある。PGxの先進国である米国でさえ同様の問題があるとはいえ、すでに政府レベルまでPGxとトランスレーショナルリサーチが取り上げられるほど、その重要性は大きくなっているのだ。わが国は今後、米国政府、FDAと創薬業界に注視し、米国がこのPGx議案とトランスレーショナルリサーチにどう取り組んでいくのか、多いに学ぶべきところがあるだろう。
■出典■
@Obama Introduces Bill to Help Tap Power of Genomics to Find Cures
http://obama.senate.gov/press/060809-obama_introduces_bill_to_help_tap_power_of_genomics_to_find_cures/index.html
AGenetics & Public Policy Center
http://www.dnapolicy.org/news.release.php?action=detail&pressrelease_id=53
BGenomeWeb Daily News
http://www.genomeweb.com/issues/news/134518-1.html
CNational Cancer Institute, The TAILORx Breast Cancer Trial
http://www.cancer.gov/clinicaltrials/digestpage/TAILORx
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