国内でテーラーメイド医療に基づいた食道癌治療の臨床研究が始まる
 厚生労働省は,未治療かつ病期II〜III期の食道癌患者を対象にしたテーラーメイド医療の臨床研究を今年から始めると発表した(「食道癌生検標本の遺伝子発現プロファイル解析による化学放射線療法感受性予測の臨床導入を目指した基盤的研究」*)。対象患者の遺伝子情報をもとに,同疾患の標準療法である化学放射線療法の適応を検討し,その有効性と程度などを考慮して患者に合った治療法の選択に役立てる。将来は食道癌の再発リスクや生存期間の予測にも応用したい考えだ。
 かつて,食道癌には外科的治療が施行されていたが,開胸が必要で侵襲性が高いこと,また食道の切除範囲が限られ,肺や主要血管に隣接して危険も伴うことから,現在では侵襲性の低い化学放射線療法が標準療法となっている。また,食道癌の術後5年生存率は病期0,Iで約80%弱,病期II-IVで30%にも満たないことや,病期II以上では外科的治療と化学放射線療法の治療 成績にあまり違いが認められないという報告もある。さらに昨今では,個人に適した医療が提唱されていることもあり,今回の試みは食道癌の標準治療の次なる一手として,テーラーメイド医療の概念が用いられたのではないかと思われる。遺伝子情報をもとに,患者がより侵襲性の低い化学放射線療法に適しているのか見極めることで,病期ステージの生存率向上も期待できるであろう。 *出典:平成18年5月17日(水)日刊薬業第12025号