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遺伝子データの任意提出について
---ProteomicsやMetabolomics データも含むべきか---
2004年に米医薬品食品局(FDA)がPGxに関連して、製薬企業による遺伝子データの任意提出(Voluntary Genome Data
Submission; VGDS)を求めることを開始し、2005年にはその最終ガイドラインが発表され、これまで25のデータが提出された。先日、米国フィラデルフィアで開催されたDrug
Information Association(DIA)にて、FDA Clinical PharmacologyオフィスのディレクターのLarry
Lesko氏は、提出されたデータには遺伝子データのほかに、薬剤が体内でどのように働いているのか検討するProteomics(薬剤とタンパク質の関係)やMetabolomics(薬剤の代謝関係)なども揃い始めたことを報告した。
そして、あくまで個人的な考えとしながら、同氏は「VGDSの“G”を“X”(ProteomicsやMetabolomicsの接尾語の音“〜ics”から)とし、PGxには遺伝子だけでなくタンパク質や代謝データも含むべきか検討する時期がきたかもしれない」と示唆したという*。
今回は個人的な見解のため、PGxの定義自体の見直しを考慮しているのかは不明だが、個に適した薬の開発にProteomicsや代謝経路などの重要性が増してきたことを裏付ける考えと思われる。
これからの新薬開発には、疾病の発症メカニズムおよび薬理作用を解明して副作用を抑制したり、バイオマーカー(疾病の発症を生体内で起こっている生物学的反応から見る指標)を探索し、的確な診断または薬剤候補につながるような技術開発が必須である。現在、世界中の製薬・バイオ企業は疾病の治療や診断につながるバイオマーカー探索に力を注いでいる。しかし、体内の生体反応は複雑かつバイオマーカー検知には最新技術の導入が欠かせないことや、疾病の指標や治療薬の開発につながるバイオマーカーを探すには、長期にわたる膨大なデータ解析が伴う。さらに、絞り込んだバイオマーカー候補から、より感度や検出率の高い有効的なバイオマーカーを発見する確率は決して高くない。VGDSにGenomicsだけでなくProteomicsやMetabolomicsも加わることで、そのノウハウを共有し、効率的な個に適した薬剤開発が可能になるかもしれない。
また、提出されたデータには前臨床も増えてきており、臨床面では癌やアルツハイマー病、うつ病も出てきているという。遺伝子情報をもとにしたアルツハイマーやうつ病の治療薬開発への可能性も出てきていることがうかがえる。
*2006年6月23日Genome Web Daily News
追記:なお、弊社もPGxのほかに、Proteomicsや脂質代謝解析を応用した個の医療の実現に向けた事業展開を行っている。今回、個人的な見解と前置きした上で述べたLesko氏の考えは、弊社がかねてから見据えていた方向性と一致するものであり、今後のFDAの動きに注意していきたい。 |