血漿中からβアミロイド蛋白質42が検出可能に
--アルツハイマー病の診断キットと治療薬の開発へつながる--
 日本は高齢化社会に伴って認知症患者が増加しており,宮城県田尻町で行われた調査によると,65歳以上の高齢者では8.5%が認知症を発症していたという。(リンク
認知症の原因には,大きく分けてアルツハイマー型と脳血管性の2つがある。現在アルツハイマー型認知症(以下アルツハイマー病)の診断定義は,臨床面からその他の認知症に当てはまらない症状を呈した場合をアルツハイマー型と診断するものの,明確な定義は確立されていない。危険因子として,とくに糖尿病性神経症の発症に関わるアポリポ蛋白(Apo)E,高血圧,加齢と家族歴など発症原因はさまざまだが,今のところアミロイド蛋白質とリン酸化タウ(τ)蛋白質がアルツハイマー病の診断マーカーとして有力視されている。特に前者は脳細胞外に蓄積し,細胞毒性と凝集性を有するβアミロイド蛋白質(Aβ)42が老人斑を発現させ,脳機能の低下を招くとされている。
 そこで,2006年5月31日に和光純薬工業株式会社は,血漿中のAβ42濃度を測定する研究用試薬キットを国内の大学研究所や製薬企業に向けて発売開始した(リンク)。従来,アルツハイマー病の診断には脳脊髄液からAB42やリン酸タウを測定していたが,侵襲性が高いため患者負担が大きかった。しかし,同社の試薬キットは感度と特異性を向上させ,世界で初めて侵襲性の低い血液からアルツハイマー病のマーカーを測定できるようにした。今後はアルツハイマー病治療薬の開発に役立てられることが期待される。
 なお,アルツハイマー病は炎症性疾患との関連性が示唆されており,アスピリンやイブプロフェンといった抗炎症作用を有する薬剤を服用している人では,アルツハイマー病の発症率が低いという報告もある(リンク)。高齢化に伴って今後もますます患者数が増加する疾患であるだけに,発症機序の解明も期待される。