|
産学官体制でバイオマーカー探索を開始
---ワイスのトランスレーショナル・リサーチの取り組み---
抗がん領域や中枢神経の薬剤開発に力を入れている株式会社ワイスは、英国スコットランド政府と協力し、基礎研究から得たデータを臨床試験につなげるためのトランスレーショナル・リサーチ(Translational Medicine Research Collaboration:TMRC)プロジェクトを展開する。主に循環器、糖尿病、骨粗しょう症、アルツハイマー病といった、今後ますます有病率が高くなる5つの分野に的を絞ったバイオマーカー探索に乗り出す。なお、スコットランドは強力な産学官体制が整っており、クローン羊のドリーでも有名になった場所である。
新薬開発には、基礎研究から得た候補化合物を薬という形にさせて、臨床試験、そして事業へとつなげていく橋渡しの段階が重要だ。これには基礎研究と臨床開発の両面に精通した産学官の専門家と適切な研究施設がないと難しいが、基礎研究の成果を迅速かつ効率的に臨床へつなげる必須のステップである。日本でもトランスレーショナル・リサーチの重要性はさけばれており、国家プロジェクトの1つとして文部科学省と厚生労働省が打ち出した「第3次対がん10か年総合戦略がんトランスレーショナル・リサーチ」が行われている。しかし、わが国はトランスレーショナル・リサーチで得た結果を活用できる体制が十分に整えられていないのが現状である。
株式会社ワイスは産学官でバイオマーカーの探索に取り掛かり、将来的には早期診断や薬剤投与にて副作用の発現を回避できる検査薬の開発にもつなげたい意向。同社はこのプロジェクトのために今後5年間で8600万ドル投資する予定だ。莫大な投資額と時間はかかるが、製薬企業、行政、医療大学機関の強固な産学官体制が整っていれば、検体数も集めやすくバイオマーカー探索と新薬開発期間の短縮化につながり、より早く新しい薬を患者さんに届けられることも期待できるのではないか。さらに、製薬企業も加わることで経済的利潤ももたらし、製薬産業の活性化と次なる新薬の開発につながる新しい知見を共有できる。
研究対象となった5つの疾病率の増加傾向は必須で、それらのバイオマーカーは世界中の製薬・バイオ企業も探索している領域だ。国民、医療機関、企業、国、が連携できる体制が整っていることで、医療と経済に相乗的な効果が期待できよう。
出典:2006年7月7日 日経産業新聞 |
参照:「Scotland Leads Way in Pioneering Approach to Developing New medicine」
|
|
|