Gene Logic社がVGDSのトキシコゲノミクス解析に自社サービスを提供

 遺伝子研究が発達するにつれ、薬剤の副作用の程度などが人によって異なる理由は、個人の遺伝子情報によることがわかってきた。トキシコゲノミクス(Toxicogenomics)は前臨床段階で細胞や動物に薬物投与した場合の遺伝子発現を解析し、遺伝子ベースで毒性の発現メカニズムの解明や予測を行う比較的新しい領域の学問である。そして、ファーマコゲノミクス(PGx)と並んで、将来的に副作用の少ない薬剤の開発や副作用の発症予測に貢献できることが期待されている。
 2005年3月に米食品医薬品局(FDA)がPGxガイドラインを発表し、製薬企業が新薬開発に活用してきた遺伝子データの任意提出”Voluntary Genomic Data Submission(VGDS)”が提唱された。これまでのところ、25のデータが企業から提出、そのうち3つはトキシコゲノミクスデータであり、すでに2つの解析が終了しているという(2006年1月時点)@
 そして2006年8月10日、トキシコゲノミクスや疾患遺伝子発現データベースサービスを提供している米国のGene Logic社は、自社のトキシコゲノミクスデータベースと解析ソフトの一部を、FDAのVGDS解析用に提供することに合意A。これまでVGDS解析にIconix社、Rosetta Biosoftware社、Expression Analysis社などの米国民間企業が協力してきたが、今回Gene Logic社のデータベースを用いることで、毒性発現の解析だけでなく、企業がバイオマーカーの選定に用いる技術を把握し、FDAが掲げているCritical Path InitiativeBに貢献できるものと期待されている。VGDSは毒性の低い新薬開発の力強いリソースになると思われ、今後の開発に毒性データをどのように活用すべきか、新たな検討事項や方向性が見出されるのではないだろうか。
 VGDSにおけるトキシコゲノミクスの役割として、まず動物モデルで新薬候補化合物の毒性発現メカニズムを解明し、同化合物が毒性に高い感度と正確性を有することを前臨床で確認することである。そして前臨床と臨床の両段階で活用しやすいバイオマーカー候補、もしくは副作用の少ない新薬の開発につなげることが掲げられている。
 これらを達成するには、新薬候補化合物の膨大な有用性データを検証せねばならない。ヒトの病態を診断または予測する数あるバイオマーカーの中で、最も検証と実用化が難しいとされているのが「毒性を予測するバイオマーカー」である。薬物の毒性を予測することができれば、副作用発現の早期検知や副作用を抑えた治療が可能だ。FDAは企業の協力を得ながら、安全性の高い個の医療に重要な「毒性を予測するバイオマーカー」の開発にむけて、着実に足場を固めていっている。

 

■出典■
@FDA
http://www.fda.gov/
AGene Logic Inc.
http://www.genelogic.com/newsroom/news.cfm
BFDA Critical Path Initiative
医療機器関係の開発を向上させることで、新しい知見や治療法を患者により早く低コストで貢献できることを目標にし、
FDAが主唱しているもの。
その中でもバイオマーカーの開発と臨床試験の合理化が重要検討課題となっている。