
2003年にヒトゲノム配列解読の完了宣言が発表され、ヒトの遺伝子情報をもとにした創薬の道が拓けました。患者さんの遺伝子情報から体質を考慮し、副作用を抑えて有効性を最大限に引き出せる創薬ができれば、患者さんと薬剤開発に携わる企業機関の双方に恩恵がもたらされると弊社は考えております。
患者さんは不必要な副作用に悩まされない治療を受けられるようになるでしょう。創薬開発に携わる企業機関は、長期に亘って莫大な研究開発費がかかる開発過程で、副作用発現による開発の断念、もしくは上市後の販売中止リスクを回避することができるでしょう。さらに新薬の安全性と有効性が市場に認められれば、企業は開発費の回収と、より優れた創薬の開発につなげることが可能となるでしょう。そして、有効性が高く副作用の少ない治療薬は無駄な薬剤の処方を抑え、増大している日本の医療費削減にもつながっていくものとも思われます。
遺伝子情報から個人の体質を見極め、高い薬効と副作用の少ない薬剤を開発または処方すること。これが、私たちの提唱するテーラーメイド創薬®です。欧米ではpersonalized
medicine(個に適した薬剤)と言われているものです。米FDA(米食品医薬品局)ではpersonalized medicineにかかわる指針を2005年に策定し、personalized
medicineの確立を推進しています。
当社は2000年の設立以来、国内外のネットワークを駆使し、日本でテーラーメイド創薬®の実現に必要な基盤を整えてまいりました。徐々にその基盤も整備されつつあり、国内の医療・医薬品業界に、よりテーラーメイド医療を意識する動きが出てきていることを実感しております。また今後の個人に適した薬剤の開発には、効率的な標的化合物の探索や、遺伝子情報と薬剤の相互作用を評価・解析する先端技術が不可欠です。
このような中、当社は2009年2月、「事業再生プラン2009」を発表し、従来のバイオマーカー創薬支援、創薬、投資の3事業体制から、より経営資源を集中できる体制を築きました。
PGxに関しては、従来から、遺伝子解析などの受託や、研究支援製品の開発・販売などを行っておりましたが、2006年には、国内最大級の検体保管施設を保有する神戸TRI施設を活用し、サンプル集荷からDNA解析まで、GLPに準拠した形で、総合的・戦略的にPGx試験を支援できる体制を整えることに成功しています。サービスの提供開始以来、多くの顧客の皆様に高い評価をいただいている状況です。今回の戦略により、今後ますますPGxに経営資源を集中できることになります。
中長期的には、バイオマーカーを用いた患者の層別化による個々人に合った副作用の少ない治療の実現、ひいては、病気を予防し健康を維持する新しい「テーラーメイド創薬®」の実現を目標として、バイオ企業の買収も視野に入れた経営を積極的に行っていく所存です。
病因解明に励んでいる基礎研究の皆様、標的化合物で薬剤開発にあたっている皆様、そして臨床の現場で、患者さんの体質に適した治療薬の必要性を痛感されている医療従事者方のニーズにお応えできるよう、メディビックグループは力強く邁進してまいります。
代表取締役社長 橋本康弘(易周)
